自動車整備業界でもトップクラスのDXを 推進し注目を集めるツカサ工業(株) |
ツカサ工業(株) 佐藤憲司社長 |
10月1日(火)より本格運用が開始されるOBD検査まで、残すところあと2か月となりました。現在、指定工場をはじめ、認証工場でもOBD検査の準備を進めていることと思われますが、準備は万端でしょうか。
今回はいち早くプレ運用に取り組み、OBD検査の体制を構築しつつある、ツカサ工業株式会社(長野県大町市)の佐藤憲司社長にOBD検査の準備と体制づくりのポイントについてお話をうかがいました。
OBD検査の準備を進めるにあたり、佐藤社長はスキームの構築をポイントに挙げます。
「自社の車検において、どこにOBD検査を落とし込むかが重要です」(佐藤社長)、そのうえで最も作業効率が高く、最もリスクが低いOBD検査を構築するために、プレ運用でトライアルする意義を訴えます。
ツカサ工業においては、OBD検査において特定DTCが検出された際のリスクを考慮し、受入検査と完成検査を切り分けるオペレーションを想定しています。
「特定DTCが検出され、自社で整備ができない場合(主に電子制御装置整備)、一部外注に出さなければなりませんが、その場合外注先の状況により、整備に時間を要する可能性があります。なるべく早く特定DTCの整備に対応するため、受入検査でOBD確認を行う流れにしました」(佐藤社長)。
受入検査においては「OBD確認モード」で問診し、完成検査で「OBD検査モード」により、検査を実施するというスキームです。
ツカサ工業(株)の作業場。自社の車検に OBD検査を落とし込むことがキーポイント |
特定DTC照会アプリに車両情報を入力しやすいよう タブレットにキーボードを取り付けてカスタマイズ |
完成検査はOBD検査専用スキャンツールで
受入検査では、特定DTCが検出された場合の対応策として、すぐにその特定DTCがどのような故障なのかを把握するために通常の自己診断を実施します。このため、受入検査で用いるスキャンツールは整備兼用機を使用。一方、完成検査においてはスキャンツールを使用するタイミングがかち合わないよう、OBD検査専用スキャンツールの使用を想定しています。
なお、同社ではOBD検査に使用する検査専用スキャンツールに「スマートOBD」を選択しました。佐藤社長は、「WindowsのタブレットにUSBケーブルが同梱され、すぐに設定ができるフルセットが魅力です。通信の早さ、確実な検査などコストパフォーマンスの高いモデルです」との評価をいただいております。
「スマートOBD」 今夏、無線タイプを発売開始 |
「スマートOBD」をクルマに接続 |
料金設定と告知活動、そして指定自動車整備事業場管理規程の見直し
OBD検査のスキームが決まると、工数が把握でき、OBD検査の料金を設定することができます。OBD検査の要否確認については全てのクルマで実施するため、同社の場合、OBD検査対象外のクルマも含めて、一律で検査料金見直しを検討しています。
更に佐藤社長は指定自動車整備事業場管理規程を見直す必要があるため、早期にプレ運用に参画することが重要であると強調します。
「OBD検査のプレ運用はOBD検査システムや特定DTC照会アプリの操作習熟の場だけではなく、OBD検査のスキーム、料金、告知活動を検証し、検討する機会でもあります。そこまでを経て、OBD検査の準備と体制づくりが整えられます」(佐藤社長)。
同社では、お客様に対するOBD検査の告知活動を8月より順次開始していく予定とのこと。先手を打つことで、お客様への理解を早期に呼びかけることが可能です。
プレ運用の期間まで残り2か月となりましたが、しっかりとOBD検査について検討し、自社のスキームを構築できるよう、準備を万全にして本格運用に臨むことが重要です。
QRコードリーダーで車検証を 読み込み、車両情報を入力 |
OBD検査が必要か否かの要否確認を実施 |