陸上貨物運送事業における労働災害で最も多いのが「墜落・転落」であり、2022年度は4,294人にのぼる労働者が「墜落・転落」による労働災害に遭いました。以下、「動作の反動・無理な動作」、「転倒」と続き、事故はほぼ荷役作業中に発生していることが分かります。国内貨物の輸送量が増えるとともに、2024年問題を控える中、トラックの荷役作業を鑑み、2023年10月より労働安全衛生規則(安衛則)が改正され、安全対策が強化されました。
改正のポイントは大きく分けて3点あり、そのうち2点が10月1日より施行されました。まずひとつが貨物自動車に設置する昇降設備、および保護帽着用義務の対象車拡大です。
貨物自動車における昇降設備は高さ1.5m を超える箇所で作業を行う際、原則として最大積載量が5t以上の車両に対して設置が義務付けられてきました。今般の安衛則の改正により、2t以上5t未満のものが追加され、2t以上の貨物自動車が対象となりました。なお、昇降設備には踏み台等の可搬式のものをはじめ、貨物自動車に設置されている昇降用のステップ等も含みます。また、テールゲートリフターを中間位置で停止させてステップとすることも可能です。
この他、型式検定に合格した「墜落時保護用」の保護帽の着用に関しても対象車の範囲が拡大しました。従来は最大積載量が5 t以上の車両に対し、着用の義務が生じましたが、10月1日より下記の車両についても着用する必要があります。
① 最大積載量が2 t以上5 t未満の貨物自動車であって、荷台の側面が構造上開放されているもの又は構造上開閉できるもの(平ボディー車、ウイング車等)。
② 最大積載量が2 トン以上5 トン未満の貨物自動車であって、テールゲートリフターが設置されているもの(テールゲートリフターを使用せずに荷を積み卸す作業を行う等の場合は非適用)
また、従来は運転者が運転位置から離れる場合、貨物自動車の逸走を防ぐため、エンジンを止めることが義務付けられてきました。しかしながら、エンジンを止めると荷役装置が動かせない貨物自動車では、運転者一人だけで作業を行うことができないため、運転位置とテールゲートリフター等の操作位置が異なる貨物自動車を運転する場合につき、テールゲートリフター等の操作において、原動機の停止義務が除外されました。こちらの措置も10月1日より施行されています。なお、ブレーキを確実にかける等の貨物自動車の逸走防止措置については、引き続き義務付けられますが、可能な範囲で原動機も停止するよう、厚生労働省では呼びかけています。
運送事業の現場ではテールゲートリフター使用時の災害についても多く発生していることから、テールゲートリフターを使用する荷役作業に対し、特別教育の実施が2024(令和6)年2月1日より義務化されます。テールゲートリフターに関する知識をはじめとする学科教育に加え、操作方法を含めた実技教育などが定められていますが、業務従事歴や関連する教育、講習会への参加者は省略することができます。また、特別教育を行ったときは、事業者において受講者、科目等の記録を作成し、3 年間保存する必要があります。
今回の安衛則改正の最大のポイントは貨物自動車の保有台数でボリュームゾーンとなっている2tの小型車、4tの中型車が対象車となった点です。これらの貨物自動車ではテールゲートリフターやステップが装備されていない既販車が多いため、新たに昇降設備を設ける事業者も少なくないでしょう。ANZENでは平ボディーのトラックに最低な昇降ステップに加え、連結が可能な大型作業台など、法改正により必要となった昇降設備をご用意しております。
「トラック昇降ステップ」(DXF-TE)は手すりがついた安全設計で、トラックのあおり部分に取り付けることで荷台への昇降をサポートします。
一方、「連結式大型作業台」(DXL)は手すりのバリエーションが選べるとともに、2基連結することで最大4.5mの足場を確保することが可能となり、荷役作業を安全に効率よく行うことができます。また洗車作業やキャビンのメンテナンスにも活用できる点でもご好評をいただいています。
「トラック昇降ステップ」DXF-14TEAは 脚の長さが25mmピッチで最大約43cm調整可能 |
あおりへの取り付けも簡単。 手すりの利用で安全作業を実現 |
「連結式大型作業台」DXL-90+手すりL型。手すりはオプションでバリエーションをチョイス
DXLを2基連結することでシート掛けの荷役作業も楽々作業