気候変動とカーボンニュートラル

　温室効果ガスの排出を主要因とする世界の平均気温は上昇を続けており、それに伴う気候変動が引き起こされることで深刻な自然災害の発生が懸念されています。そこで、世界は先進国を中心に気候変動問題の解決に向け、平均気温の上昇を抑える目標として、カーボンニュートラルを提唱しました。カーボンニュートラルとは温室効果ガスの排出と吸収を相殺し、排出量を実質的にゼロにすることであり、現在日本を含め、120を超える国と地域が2050年を目途にカーボンニュートラルの達成を目標に掲げています。

本格化するEVシフト

　カーボンニュートラル対策として、欧米を中心とする先進国や、多くの人口を抱える中国などは、期限を設けたうえで内燃機関を擁するエンジン搭載車の販売を禁止する決定を下しました。これに伴い、世界の自動車メーカー各社は化石燃料を使用しない電気自動車（EV）の開発に舵を切ったのです。これが、いわゆるEVシフトと呼ばれる、新たな自動車市場の方向性です。EVシフトで先行する中国と欧州のEV販売は年々高まりつつあります。2022年で最もEVを販売したのが中国で、その数680万台。販売に占めるEV比率は19%でした。以下、米国、欧州と続きます。
　一方、2035年までにすべての新車販売を電動車とする目標を掲げる日本では2022年にEVの新型車が続々ラインナップされました。これにより、2022年のEV販売台数（輸入車含む）は前年比2.7倍の5万8,813台となり、過去最高を記録。乗用車販売に占める割合は1.7%にまで上昇しました。
　　

近い将来整備市場もEVシフト

　トヨタは2030年にEVの世界販売台数の目標を350万台と発表しました。その目標が示すように、今後国内市場でも急速にEVシフトへの流れは加速していくことが予想されます。また、中国系のEVメーカーが1月にEVの乗用車モデルを発売するなど、EVのラインナップは急速に拡大しています。国内のEV需要は、普及期に入ったといえるでしょう。近い将来、国内の中古車市場にもEVの流通が予想されるとともに、それに伴い整備市場においても車検やメンテナンス需要は高まってくることが考えられます。

絶縁工具は二層被膜の安全設計で

　EVの整備を行うにあたり、設備する工具や機器があります。身近なところでは絶縁工具です。EVシステムは高電圧系の配線や部品があるため、点検・整備や修理を行う際は、ハイブリッド車と同様、絶縁による作業が求められます。サービスプラグを取り外さず、高電圧回路に触れた場合、最悪のケースでは感電する可能性があります。EVを整備する場合、絶縁工具をはじめとする専用工具で作業を実施する必要があります。
　弊社が取り扱う絶縁工具は11点のハンドツールをセットにしました。いずれも絶縁工具に関する唯一の国際規格IEC60900:2004規格に適合した製品です。絶縁被膜は二層にすることでさらに安全性を高めています。ソケットは脱落防止のため、ラチェットハンドルにユニオン機構を、また、エクステンションバーとT形ハンドルには落下防止ねじを採用しました。
　　

現場で目立つ赤を採用した樹脂ケース に専用トレイ付きの絶縁工具	ソケットの脱落を防ぐ落下防止ねじ

電気自動車用急速充電器はフレキシブルでローコストの給電を実現

　EVやPHEVの入庫を想定する際、必須となる設備機器のひとつとなるのが充電設備です。整備作業時のみならず、動的エーミングなどで走行する際、あるいは納車前に満充電とするお客様サービスでも急速充電器は必須の機器といえるでしょう。ディーラーでは固定式の充電スタンドが一般的ですが、電気自動車用急速充電器は作業場内を自由に移動することができ、フレキシブルな給電に対応することが可能です。小容量（10kW）のため、安価な電気基本料で使用でき、受電設備は不要のため、設置工事費もローコスト。もちろんチャデモ認証品で、高い汎用性が特徴です。

急速充電機DEV-10KWは標準装備のプリンターで充電状態を確認でき、
付属するSDカード・専用ソフトで充電特性やエラー情報、充電履歴などの解析も可能