近年は自動車整備業界でも従業員やスタッフにとって働きやすい環境を整える活動が重要視され、多くの整備事業者の方々が様々な取り組みを行っています。従業員満足度(ES)が向上すれば社内の雰囲気が良くなり、お客様対応を含めたサービス品質の向上に繋がるなど経営の好循環に繋がっていくことは多くの整備工場によって実証されています。ただし、その働きやすい社内環境を整えるにあたって、最も優先されるべきは安全ではないでしょうか。安全管理を怠り、大切なお客様やお客様のクルマ、従業員を傷つけてしまったら、全ての経営努力が水泡に帰してしまうことになりかねません。人材不足が問題化し、現場が慌ただしくなっている自動車整備業界だからといって、整備機器の安全管理がおざなりにはなっていませんか。今回は自動車整備のサービス品質を高める上で忘れてはならない整備機器の安全管理の話題をお届けいたします。
平成24年から令和3年までの過去10年のうち、整備機器で最も多発しているのがリフトに関わる事故です。全349件の事故のうち、半数以上を占める189件(構成比54.2%)がリフト事故となっています。以下、門型洗車機の72件(同20.6%)、タイヤチェンジャーの13件(3.7%)と続きますが、圧倒的にリフト事故の多さが際立っているといえます。
リフト事故は年々減少傾向となっていますが、死亡事故は令和2年、同3年とそれぞれ1件発生するとともに、負傷者を出す事故は4件を数えるなど深刻な事案が相次いでいます。リフト事故は、大きな事故に繋がるケースが多いのが特徴です。
これらリフト事故を分析すると、「取り扱い不良」、「点検不履行」に原因が潜んでいることが分かりました。直近10年間の事故原因のうち、「取り扱い不良」は109件、「点検不履行」は84件にのぼり、この2つが全事故原因の91.9%を占めるに至っています(1件の事故に複数の原因がある場合は重複してカウントされています)。つまり、正しい取り扱い方法でリフトを使用し、適正な点検を実行することでリフト事故は防止できる可能性があるといえます。
安全自動車ではお客様の訪問時にリフトの正しい取り扱いと点検資格者による正しい診断・点検を行うなどの啓発活動により、事故防止に向けた取り組みを実施しています。
しかしながら、また、点検資格者による診断・点検は、日々行えるものではありません。そこで重要となってくるのがメカニックをはじめとする社内で実施する日常点検です。日々、リフトをはじめとする整備機器点検促進を図ることで、機器の異常などの早期発見に結び付けて頂きたいと考えています。安全自動車では、「整備機器メンテナンス講習会」などを開催し、大切なお客様と、その先にいらっしゃる自動車ユーザーのお客様のために整備機器の日常点検がしっかり履行できるよう、バックアップ体制を整えております。
また、前述したとおり、整備機器の事故はリフトだけではありません。多機能化する門型洗車機やタイヤチェンジャーでは取り扱い方法を熟知していないことが原因による事故が時折発生しています。令和3年の1月と3月に起きた門型洗車機の事故はトップブラシやノズルがいずれもリヤスポイラーに接触したことでクルマにダメージを与えてしまった事故です。両件とも作業員がクルマの装備を確認せずに起きたもので、取り扱い不良が原因とみられています。人身事故に繋がらなかったことが、不幸中の幸いともいえますが、お客様の大切なクルマにダメージを与えたことは会社の信頼性を失うことに繋がりかねません。無用なトラブルを生じさせないためにも、社内事故を防止する取り組みが求められています。
整備機器を安心・安全にご使用いただくためには「日常点検の実施」で、早期に機器の異常を発見することが重要です。当社ではメンテナンスを自社で行っていくためにポイントを座学・実機を交えてご説明いたします。
特に前述したリフト事故を防止するために「リフト点検」、また工場の心臓とも言える「エアコンプレッサー点検」を当社では重要視しています。プロの目による定期的な点検に加えて日常点検を実施することで、事故を防止するだけでなく整備機器が使用できなくなるリスク回避にも繋がり、安心・安全作業を提供することが可能となります。
その他にも当社では整備機器メンテナンス講習会(座学・各整備機器を用いた実機講習)を実施しています。また、各種整備機器の点検を実施いたします。(車検機器・洗車機・タイヤチェンジャー/ホイールバランサー・天井クレーンなど)ご希望のお客様は是非弊社ご担当までご用命ください。