1年毎のOBD点検を義務付け
2020年4月に施行された道路運送車両法の一部を改正する法律により、電子制御装置整備が保安基準に加わることで、分解整備の範囲が拡大され、特定整備がスタートしました。これを受けて、10月1日より新点検基準が施行されます。新たな点検の対象となるの は大型特殊自動車、被牽引自動車、二輪自動車を除いたクルマで、点検範囲は下記の8つの装置です。点検方法はスキャンツールを用いて診断結果を読み取る方法と、警告灯を目視する 方法のいずれかにて実施し、その結果は点検記録簿に記載します。また点検の結果として整備が伴う際は特定整備制度に基づき実施する必要があります。なお、OBDの点検は1年毎 の実施となります
目視による点検方法
イグニッション電源をオンにした状態で診断の対象となる識別表示が点灯することを確認した上で、原動機を始動させ、診断の対象となる識別表示が点灯、または点滅し続けないかを目視により点検します。
整備を実施する上での留意点と指定整備工場の対応
新点検基準に基づく点検の結果、電子制御装置整備を行う必要がある場合、特定整備認証制度にのっとり実施しなければなりません。特定整備認証(電子)を受けている事業者はもちろん、2020年3月末日までにエーミングまでの作業を実施済みで、4年間の経過措置の対象となっていれば整備作業は可能です。(※一部地域により経過措置の条件が異なりますので最寄りの振興会にご確認ください。)また、10月1日以降に 指定整備工場が交付する保安基準適合証交付についても特定整備認証に基づく対応が求められます。上記と同様、特定整備 認証(電子)に移行した指定整備工場はもちろん、4年間の経過措置を受けていれば保適の交付は可能です。
点検記録簿への記載
新点検基準の導入により点検整備記録簿が改訂されました。新たに電子制御装置整備の記載欄が加わり、実施した整備についてそれぞれ 記入します。例えば、衝突被害軽減制動制御装置のカメラを交換し、その後エーミング作業を行った場合、チェック欄に注釈の注などを記し、その他の点検・整備項目などの欄に詳細を記載します。交換を示す×の記号を丸で囲み、同様に調整を示すAを丸で囲んでⒶと記載します(下画像参照)。 ANZENニュースVol.1なお従来の点検整備記録簿は「車載式故障診断装置の点検OBDの診断の結果」項目を追加し、記録簿にある「分解」を「特定」に修正すれば10月1日以降も使用することは可能です。
自動車検査の法定手数料の変更とお客様への告知
この10月より 自動車メーカーが提供する故障診断に関わる 情報システムが稼働します。このシステムは (独)自動車技術総合機構が運用し、OBD検査などにおいて全国の車検場 や整備工場が利用するというものです。これに伴い10月1日より、車検の手数料として、1台あたり一律400円の技術情報管理手数料が追加されました。このよう に点検の実施方法や検査手数料の変更は、お客様に ご納得がいただけるよう、透明性の高い説明が求められます。自社のホームページ、あるいはお客様との対話の中で確実に伝えていくことが お客様の満足度向上に繋がっていくのではないでしょうか
おわりに
今後さらに電子制御装置整備の対象車両が増えていくことから、スキャンツールを駆使した診断整備力やエーミング作業の技術力向上が経営力アップのカギを 握ります。電子制御装置整備に使用される整備用スキャンツールは弊社ホームページからもご確認いただけます。商品の性能・価格については、最寄りの支店・営業所までお気軽にお問合せください。